中国語とジグソーパズル
日本語では、助詞の種類が豊富であり、助詞によりフレーズの機能(文成分)が明確にされているので、語順を変えても意味が変わらないことが少なくありません。
一方、中国語では、基本的に、その日本語の助詞に対応するものがなく、各フレーズの機能(文成分)は、文全体における各フレーズの相対的な位置により規定されます。
したがって、中国語を読解する際には、中国語の語順に基づいて各フレーズの機能(文成分)を把握する必要があります。
中国語にも、日本語と同様に、「主語」、「述語」、「目的語」があります。中国語では、これらを、「文成分」と読んでいます。
この「文成分」には、他に3種類あります。合計6種類です。
「文成分」は、その並べられ方が予め定められているので、下記のように、予め形状が決まっているというようにイメージすることが可能です。
[主 語] :
[述 語] :
[目的語] :
【例文1】
日本語 : 送信手段は、情報を送信する。
中国語 : 发送单元 发送 信息。
[主 語] [述 語] [目的語]
「文成分」には、他に、「状語」、「補語」、「定語」の3つがあります。
まず、「状語」、「補語」について説明します。
「状語」は、「述語」である動詞、形容詞を修飾するものです。「状語」の主なものは、前置詞句です。
「補語」は、「述語」の後ろに配置されて「述語」を補う役割を果たします。技術系の中国語(理系の中国語)において、「補語」の主なものは「結果補語」と呼ばれ、動詞の後ろに配置されてその動作の結果を表すことに用いられます。
「状語」、「補語」についても、予め形状が決まっているというようにイメージすることが可能です。
[状 語] :
[補 語] :
【例文2】
日本語 : 送信手段は、制御手段に向かって情報を送信する。
中国語 : 发送单元 向 控制单元 发送 信息。
[主 語] [状 語] [述 語] [目的語]
【例文3】
日本語 : 送信手段は、情報を制御手段に送信する。
中国語 : 发送单元 将 信息 发送 到 控制单元。
[主 語] [状 語] [述 語] [補 語] [目的語]
6種類の「文成分」のうち、最後の1つ、「定語」は、名詞を修飾するものであり、名詞である「主語」、「目的語」の前に配置されます。
[定 語] :
[名 詞] :
【例文4】
日本語 : 私のパソコン
中国語 : 我 的 电脑
[定 語] [名 詞]
中国語の文は、ジグソーパズルに例えることができます。
ピース ≒ 単語 または フレーズ
ピースの模様 ≒ 意味
ピースの形状 ≒ 文成分
中国語で文を作成するということは、模様(意味)と形状(文成分)を把握している複数のピースを、適切に並べていき、ジグソーパズル(文)を完成することに似ています。
一方、中国語を読解(リーディング)するということは、各ピースの模様(意味)を把握し、各ピースの形状(文成分)を把握することにより、ジグソーパズル(文)の構成を理解することに似ています。