銀 龍 物 語 Epi.14 日本人の気質

電気部
部長 準パートナー
弁理士 範勝傑

        
 

 みなさま、こんにちは。今回、銀龍物語の欄において、わたしと日本との間のエピソードを共有できる機会を持つことができ、うれしく感じております。

 先月の初め、私は出張で東京に行きましたが、成田空港に到着して「税関申告書」をもらうために列に並んでいました。並んでいる人が比較的多い状況だったのですが、私の前にいた若い男性が日本語版の「税関申告書」を親切な感じで渡してくれました。

 わたしは、申し訳ない感じで、日本語で「すいません。中国語のものを一枚もらえますか。」と伝えました。それを聞いたその男性は、すごくけげんそうな目つきをされていました。わたしは、その男性の内心が「こともあろうに日本人ではないのか。。。?!」というものであることを自然に感じとることができました。

 わたしは、そのときが日本人に間違えられた第何回目かはよく覚えていませんが、モルディブでのバカンスのとき、バリ島の旅行のとき、香港で買い物をしているときなど、中国大陸を出ると、その国でひと目で日本人と誤認されます。一方、これまで、ひと目で中国人、韓国人と認識されたことは一度もありませんでした。これはいったいなぜなのでしょうか?

 この私の心の中のとまどいについて、日本での生活が長い友人たちと話し合ったことがあります。友人たちは、みな大笑いするとともに、私はたしかに見た目が日本人気質の顔であると同意されてしまいました。それでは、日本人気質の顔とはどのようなものなのでしょうか?

 明らかなことは、日本人の成年男性であっても、みんな雰囲気や格好が異なっています。このため、わたしの雰囲気が、ある日本人グループの「代表的な人」の特徴と一致しているに違いなく、そのために私がよく日本人と間違えられると思うのです。

 私の友人Aは、まじめに検討しました。彼の観察に基づき、成年の男性を例にして、日本の男性と中国の男性の顔に関するいくつかの相違点をまとめました。
(1)日本の男性の多くには、比較的長いモミアゲがありますが、中国の男性で長いモミアゲのある人はすごく少ない
(2)中国の男性は、芸術家(例えば、画家、作家)あるいは芸人を除き、ヒゲを残している人はすごく少ないが、日本の男性ではヒゲを残している人が少なくない
(3)中国の男性は丸刈りが多いあるいは短髪が多いが、日本の男性の長髪の割合が中国よりもいくらか高い

 つまり、その友人Aの見解によれば、わたしは、モミアゲが長く、ヒゲがあり、長髪であり、さらに、わたしが日本人と誤認された場所が、いずれも、日本人がよく行く場所あるいは日本人が多い場所であったため、日本人と誤認される蓋然性が高かった、というものです。

 そのような解釈は、一見するとすごく道理があるように聞こえます。しかし、いくつかの不合理なところがあります。例えば、バリ島に行ったときは、わたしは短髪かつヒゲなしであり、香港のときも同様に短髪でしたが、逆に日本人と誤認されてしまっています。このため、顔の部分の特徴のほかに、見えないあるいは気づきにくいある種の「ディテール」があるのではないかと思います。

 別の友人Bもそのことについて真剣に検討し、さらに別の見解を出しました。つまり、私の顔の表情についてです。わたしは、ふだん、厳粛な表情であることが多い、あるいはある種の「まじめな日本人」的な表情と一致しています。そして、前述の友人Aが言及した原因を組み合わせ、そうすると、日本人ときわめて自然に誤認されることになる、というものです。この見解は、わたしの内心のとまどいを比較的合理的に解釈しているようにも感じます。

 日本人の気質について、外国人のわたしが何かと問われてあえて他の気質について言及するとすれば、それは服装の色です。とくに平日には、黒、紺色、深い色のほかは、見られません。

 2年前に東京で3ヶ月研修をした際の平日の午前、わたしはピンク色のジャケットを着て「霞ヶ関」、「虎ノ門」の付近を歩いていましたが、わたしが地下鉄の出口から出た瞬間から、わたし自身が周囲の雰囲気と異なるという違和感を強烈に感じました。誰も私を凝視していないし指を指されたわけではないのですが、周囲の環境としっくりいっていないまごついたような感覚は今にいたっても記憶に新しいという状況です。

 結局、その日は、東京ブランチにジャケットを置いて研修先の日本特許事務所に行くことを思い切って決断しました。その当時は、すでに11月の中旬だったので、すこし寒いという感覚はあったのですが、その強烈な違和感とくらべると、すこし寒いことぐらいはわたしにとってとてもちっぽけなことでした。

 わたしと日本との間のエピソードはまだまだございますが、紙面の関係上、今回はここまでとさせていただきます。今後、機会がございましたら、わたしの興味深い経験を皆様とシェアさせていただきたいと考えております。中国あるいは中国の文化についてご興味のある内容がございましたら、ぜひ交流させていただきたいと考えております。

 わたしのメールアドレスはこちらですので、ぜひご連絡ください。
 fanshengjie@dragonip.com

 なお、わたしをご存知のクライアントのみなさま、あるいは下記の写真を見たみなさま、わたしが日本人に誤認されてしまう原因をご存知でしたら、ご一報ください。


                                 
                    (銀龍物語Epi.14  おしまい)