銀 龍 物 語 Epi.04 日本のチカラ

機械部
弁理士 宋春華






 私は、12年前に、金型設計エンジニアとして仕事で日本に行きました。初めての日本だったこともあり、日本の高度な技術力、日本人のプロ意識及び日本製品の綿密な品質管理に感動しました。その時の日本人の上司は下川様でした。下川様は、仕事ぶりが非常に真面目で細部にまで注意をする方であり、専門は材料です。機械金型図面の作成が得意で、私と向かい合って打合せをする際、私の目から見て上下が合った複雑な金型図面を書いてくれました。下川様から見ると上下が逆の図面になり、私は感服しっぱなしでした。

 下川様から「日本品質管理の基本はPDCAサイクルである」ということを教えていただきました。つまり、P(plan)、D(do)、C(check)、A(act)を繰り返すことであり、これが日本の製品が世界で認められている理由であると考えており、今まで忘れたことはありません。

 日本から帰国した後、私は金型設計エンジニアから中国弁理士に転身し、日本の企業への特許サービスを提供していますが、日本の仕事経験から「顧客第一に徹し、魅力あるサービスを提供すること」を個人的な目標として努力しています。

 私は2005年に北京銀龍に入社し、北京銀龍の仕事を通じて中国特許法の知識を学びました。2年を経た後、2007年に個人的な理由で北京銀龍を離れましたが、その後、6年を経た2013年に、鮭が生まれ育った川に戻ってくるように北京銀龍に戻りました。その理由ですが、SIPOのOBが多数在籍してSIPO内部の審査動向を容易に把握できるとともにいつでもその専門家に質問できること、「ミスが生じてしまった場合、正直にクライアントに報告する」という基本的なルールがあること、所内の雰囲気がよく、人間関係がシンプルであること、仕事に対する姿勢が日本企業の強い影響を受けていることなどです。

 人間関係については、仕事で互いに協力し合うことはもちろん、家庭生活で困難なときにも助け合うので、仕事がスムーズに進みます。私は元上司である丁文薀(現出願部部長兼法律部部長)から実用的な育児の経験を学んでいました。あるとき、私の息子が風邪で発熱しました。丁文薀は北京児童医院で販売されている長い熱冷ましテープをおでこに貼ると物理降温の効果が良いことを教えてくれました。私はすぐさまこの熱冷ましテープを買いに行きましたが、効果が非常によかったです。

 最近、日本の有名な企業家である稲盛和夫先生の書籍が中国で流行しています。私も「6つの精進」という本を読み、非常に感動しました。「6つの精進」とは以下のとおりです。

◆ 誰にも負けない努力をする
◆ 謙虚にして驕らず
◆ 反省のある毎日を送る
◆ 生きていることに感謝する
◆ 善行、利他行を積む
◆ 感性的な悩みをしない

 稲盛先生の思想に深く感動し、私は稲盛先生ほどの覚悟は持っていないのですが、私は「6つの精進」を厳格に自分に要求して、毎日「人間として何が正しいか」を判断基準とし反省しながら日常生活をおくりたいと考えています。

 3月、もうすぐ日本に桜の季節が到来します。3/12~3/17の間、母、妻の母、妻、息子とともに合計5人で日本へのパッケージツアー旅行に参加します。どうやら桜を見るには少し早すぎたようで少し残念なのですが、このツアー旅行の費用は、私たちは2300人民元/人です。他の人たちは、4600人民元/人なのですが、私たちは運良く安く買うことができました。

 ツアー旅行のルートは、天津⇒東京(2泊)⇒箱根⇒長野(1泊)⇒岐阜(1泊)⇒京都⇒大阪(1泊)⇒天津となっています。東京銀座でショッピングしてミレニアム寺の浅草寺を感じ、日本の象徴である富士山に5合目まで登り、妻籠宿と高山陣屋を訪問し、古都京都の街を散策して金閣寺を見て、日本の3つの歴史名城の一つである大阪城を見て大阪心斎橋でショッピングし、それに日本の温泉も楽しみます。

 中国の日本旅行客は、観光と同時に買い物をするのが定番になっていますが、今回、私たちが日本で買う予定の物は、PDCAサイクルで製造された電気製品、服、靴、子供用品、親戚と同僚への日本の各地のお土産などです。子供用品は、軽食、シャンプー、風邪薬、水筒などであり、電気製品は、少し重いのですが自動炊飯器です。北京銀龍の同僚は頻繁に日本に出張しているので、普段はその同僚に日本で買い物、例えば、海苔、ミルク、熱さまシートなどをお願いしていましたが、今回は自分でいろいろ見ながら買い物を楽しみたいと考えています。

 私の家族は日本が初めてですので、彼らに美しい日本を感じて欲しいと思っています。私は、日本の何かに触れると、常に日本のチカラの源泉のようなものを感じます。また、日本の多くの企業と毎日接しながら成長した北京銀龍からも二次的に日本を感じます。このツアー旅行で日本のチカラの源泉がどこにあるのかを探してみたいと考えています。今回のツアー旅行は日程的にハードであり、移動がバスであるため、息子と母たちの体力が少し心配なのですが、日本の温泉にゆっくり入って源泉からチカラをもらって元気に日本のことを知り、学び、楽しんで欲しいと思っています。

                   (銀龍物語Epi.04  おしまい)